国際友和会(IFOR

International Fellowship of Reconciliation

日本友和会(JFOR)は、1926(大正15)年に国際友和会(IFOR)の一支部として創設され、83年の歩みを続けて来ました。しかし今日、日本支部としてどれだけ自覚的に活動しているでしょうか。来年は4年に1度のIFOR総会年です。3年前に日本・八王子での総会で決まった活動方針の総括と新たな方針(案)の検討が求められています。

この連載は1年間、主としてIFORのホームページからトピックを選び、解説する予定です。今回はIFORの規約に謳われている目的とアメリカ友和会(FOR USA)のそれを紹介します。

IFORの目的:規約第1条によると「国際友和会は、正義を創り出しコミュニティを回復するために、愛と真実の力に確信をもち、個人的、社会的、経済的、政治的に、生活の仕方と変換の方法として積極的非暴力をつらぬく人びとの国際的、かつ霊性にもとづく運動である」と規定しています。

FOR USAの目的:「アメリカ友和会は、万物、生きとし生けるものは基本的にひとつであることを認識し、人間の争いの解決をめざして、愛と真実の力を探求するために協力し合う男性と女性から成る組織である。常に戦争に対して精力的に反対するが、その努力はすべての人間の十全の尊厳と自由をもって、正義と平和な世界のコミュニティの実現を図るものでなければならない。これらの目標を達成するために友和会は、憐れみ深い活動を通して和解を求め、紛争に対して非暴力で応じる同信の仲間づくりをする。個々の会員の生活のなかで信条の統合が奨励される。それと同時に、コミュニティの境界を広げ、宗教的伝統の多様性を尊重することは友和会の特別の役割である。何故なら、友和会は多くの異なる信仰をもつ人びとの一致協力した努力で紛争の解決を図るからである。その計画の進展において、FORは生活の全領域でこれらの原則の応用を求める人びとを必要とする」(FOR USA “Fellowship” Vol.74,No.4-6,7-9 2008 /秋号より)    

 

IFORの組織と運営

 IFORの規約(Constitution)は12条から成っています。1.目的、2.国際組織の構成、3.国際総会、4.地域代表委員会、5.国際理事会、6.執行委員会、7.国際事務局とスタッフ、8.法律上の承認、9.国際協力、10.規約改正、11.手続の指針と慣習、12.解散、です。

国際組織:IFORは支部(Branch)、グループ(Group of the organization)、加盟団体(Affiliates)、の三つで構成されています。

支部IFORの趣旨に賛同し、活動を支持する人びとの組織で、国際総会で正式に承認されたものです。支部の活動と目的は通常、地方的(local)ではなく国(national)ないし地域(regional)の範囲のものです。

グループIFORの活動のなかで生まれた組織で将来、支部に発展することを目指すものです。グループの承認は国際理事会か地域代表委員会で行います。

加盟団体〜自分たちの精神と計画がIFORの目的と計画に適合しており、IFORと提携したい人びとの団体です。国際総会または地域代表委員会の承認が必要です。

個人会員〜例外的に個人加入が認められています。その承認は国際理事会でなされます。

国際運営:IFORの運営は国際総会(International Council)、地域代表諮問委員会(Representative Consultative Committee)、国際理事会(International Committee)、国際事務局とスタッフ(International Secretariat and Staff)でなされます。

国際総会〜最高決議機関で、少なくとも4年に1回の開催が必要です。各支部とグループ(IFOR招待の)および加盟団体の代表が参加します。代表性に問題がある場合には、国際理事会にその判断が委ねられます。しかし最終決定は国際総会でなされます。国際総会の仕事は@前総会以降4年間の各地域、支部、委員会、ワーキンググループおよび国際事務局の活動の総括、A次期4年間の活動方針と重点課題、B会長と国際理事の選出、C会計理事とIFORスティヒティング〈財団〉役員の任命の承認、D規約上の主要事項の決定、E新規加入組織の承認と除名処分の決定、です。

地域代表諮問委員会〜世界の4地域(アフリカ、アジア、ヨーロッパ、アメリカ)代表各2人と国際理事で構成されます。地域代表はその地域の支部、グループ、加盟団体から選出されます。

国際理事会〜国際総会と国際総会の間における主要な意思決定を行います。その任務は@総会で決定した方針と活動計画の国際事務局による執行の指導、A地域やワーキンググループの活動および調整の監督、B国際事務局の各年の予算の承認、です。事務局人事についての責任も負います。国際理事は総会で選出されます。その数は7人で、会長、副会長、会計理事、各地域から1人以上(3人未満)の構成です。国際理事会は通常、年に1度、開催されます。

執行委員会〜会長、副会長、会計理事の3役で執行委員会を構成します。この3役は国際理事会のメンバーに入ります。副会長は国際理事会で選出され、会長を補佐します。執行委員会の任務は年1度の国際理事会と国際理事会の間における主要な意思決定であり、各国際理事の見解表明や活動について報告を受け、責任を負います。

国際事務局とスタッフ〜国際総会の決定にもとづき、特定の計画を含む国際的な活動を組織し、運営します。スタッフは原則的には国際事務局で執務しますが、フィールドワーカーもいます。国際理事会の指図で仕事を行い、同理事会に責任を負います。国際理事会は国際事務局の必要に応じて人事委員会を設け、委員を任命することが出来ます。

  以上の他、規約では法律上の承認(IFOR本部がオランダにあるため、IFOR財団の管理を含め所在地のアルクマールにある商工会議所の許認可が必要)、国際的な組織や機関との協同、規約改正、手続の指針と慣習、解散、についての条項がありますが割愛します。

 なお、現行のIFOR規約は2002年のニューヨーク総会で改定されたものです。旧規約については市東禮次郎氏が友和誌519号(1996年10月号)で抄訳しており、今回の和訳にあたっては出来るだけ用語の整合化に努めました。

 

IFOR加盟組織の現況

 インターネットでInternational Fellowship of Reconciliationを検索するとIFORのウェッブサイト(www:The World Wide Web)にアクセスすることが出来ます。昨年5月、幕張メッセで開催された世界9条会議で、このwwwThe World Without Warと読み替えている多くの平和活動家に出会いました。

 このサイトを開くとホームページ(HP)でカラーの地球儀が回転しており、暗闇のなかでIFORの支部等が赤い炎のように点滅しています。わたしはこのHPを見るたびに「吾昏く 世暗く すべて闇くとも なれよみこころ さればハレルヤ」(伊藤邦幸)を想起し、絶えず祈っていない自分に気付かされています。

 このサイトでstructure(組織)をクリックすると、世界の5地域ごとに加盟組織名、住所、Eメール、ウェッブサイトが、支部(Branches、略称B)、グループ(Groups、G)、加盟団体(Affiliates、A)別に列挙されています。以下、名称と国名のみを紹介します。

 

アフリカ地域(B.5、G.10、A.5)

B.FOR コンゴー、FOR マダガスカル、FOR ウガンダ、FOR ザンビア、

FORジンバブエ

G.Akwa Ibom IFORピースグループ、Ass.Congolaise pour la Non-violence(コンゴー)Association Famille De Paix De Paix(ルワンダ)、Association Tchadienne pour la N-V(チャド)、Dauphins Munzihirwa-Kataliko(コンゴー)、GANVE(コンゴー)、Mouvement National de Reconciliation du Benin(ナイジェリア)、Sudanese Organization for Nonviolence and Development(スーダン)、Tchad Nonviolence(チャド)、Wilgespruit Fellowship Center(南アフリカ)

AFamily Mediation Conciliation (ケニア)、Pan-African Reconciliation Center(ナイジェリア)、Peace Makers Society(カメルーン)、Silverline Development Initiatives(ナイジェリア)、WANEP(ガーナ)

アメリカ地域B.1、G.1、A.5)

BFOR USA

GKootenay FOR(カナダ)

ABuddhist Peace Fellowship(米国)、Jewish Peace Fellowship(米国)、Karuna Center for Peacebuilding(米国)、Muslim Peace Fellowship(米国)、Serpaj Chile(チリ)

アジア地域B.8、G.7、A.11)

BBikalpa Gyan Tatha Bikas Kendra(ネパール)、FORバングラデシュ、FORインド、FORイスラエル(非暴力のためのパレスチナ人とイスラエル人 )、FOR Japan (Nihon Yuwa Kai)FORパレスチナ(紛争の解決と和解のためのセンター)、FORパレスチナ(中東の非暴力と民主主義)、FORパレスチナ(Wi’amセンター)

GAKKAPKACANV(フィリッピン)、AKKAPKA Foundation(フィリッピン)、ANANDO(バングラデシュ)、BICPAJ(バングラデシュ)、平和と和解のための提携(カンボジャ)、Pag-aalay NG Puso Foundation(フィリピン)、持続的平和と発展のための組織(SPADO、パキスタン)

ABangla-German SAMPREETI(バングラデシュ)、BASTOB(バングラデシュ)、Bombay Sarvodaya Friendship Center(インド)、平和と民主主義研究所(アゼルバイジャン)、平和と発展のためのインターフェイス フェローシップ(スリーランカ)、誓約した(engaged)仏教徒たちの国際ネットワーク(タイ)、車輪の上の図書館(Library on Wheels、イスラエル)、非暴力直接行動グループ(スリーランカ)、共感・治療・受容・回復(STAR)組織(パキスタン)、人権と民主主義のためのチベットセンター(インド)、女性の平和づくり(Women Making Peace、韓国)、

ヨーロッパ地域B.14、G.4、A.7)

BFORオーストリア、FORベルギー、FORイングランド、FORフランス、FORドイツ、FORイタリア、FORノルウェー、FORスコットランド、FORスウェーデン、FORスイス(フランス語圏)、FORスイス(ドイツ語圏)、FORウェールス(英国)、教会と平和(オランダ)、オランダ・メノナイト平和グループ

G.クロアチア戦争反対キャンペーン(クロアチア)、Bocsファンデーション(ハンガリー)、ファンデーション エキュメニカル“TOLERANCE(寛容)”(ポーランド)、GIR(ベルギー)

AAnglican Pacifist Fellowship(イングランド)、平和と和解のためのGlencree Center(アイルランド)、INNATE(アイルランド)、Iona Community(英国)、Kurve Wustrow(ドイツ)、Peace People(北アイルランド)、フィンランド平和連合(フィンランド)

オセニア 太平洋地域B.1、G.1、A.1)

B.ニュージーランド キリスト教平和主義者団体(Christian Pacifist Society of NZ)

G.オーストラリア 非暴力ネットワーク(Australian Non-violence Network)

A.シドニー仏教徒ピース フェローシップ(オーストラリア)

(注)Annual Report(年報) 2007によれば、国際パートナーとしてWAR RESISTERS’ INTERNATIONAL(国際的な戦争抵抗者の会、英国)、SERPAJ-AL.(CLA) COORDINACION LATINO-AMERICANA(ラテンアメリカ共同、コスタリカ)があります。

以上、世界5地域で支部29、グループ23、加盟団体29、合計81のBGAが存在しており、さまざまな組織形態で独創的な活動が多様になされています。IFOR創立90周年、JFOR発足83周年のあゆみを振り返るとき、改めて先人・先輩の足跡が偲ばれます。歴史的現在である今日に生きる私たちの同時代人としての責任を痛感している昨今です。

Act Locally, Work Globally.(地域で活動し、地球規模で働く)”

 

2006年IFOR国際総会in東京と新設の作業部会

 4年に1度のIFOR国際総会は2002年のニューヨークに次いで、06年10月、八王子の大学セミナーハウスで開催されました。初日のIFOR総会・JFOR80周年記念講演/9条国際シンポジウム(「世界の子どもたちのための平和と非暴力文化国際10年(2001-2010)」企画)ではアジアにおける日本の平和憲法第9条の国際的・人類史的意義についての認識を共有することが出来、画期的な成果を生み出しました。(日本友和会『九条の風になろう!』和英両文、2008.4、参照)

 その総会で決まった重要事項は、すでに本誌第626号(07年1月)で櫻井淳司さん(前IFOR国際理事)が報告ずみなので、今回は2006−2010の4ヵ年計画の活動目標と新設の作業部会(Working Group)についてのみ紹介します。なお、以下の10項目の順番は優先順位ではありません。

1. 積極的な非暴力にもとづく異宗教間の連帯と共存(interfaith)を強め、促進する。

2.あらゆる暴力の形態を宗教的に正当化することに異議申し立てをする。

3.非暴力的手段で国家間と市民社会間の国際的連帯と対話を促進する。

4.人権、正義の復興、和解を促進する。

5.平和と非暴力の文化を促進し、軍備縮小と非武装化のために活動する。

6.既存の支部とグループを強化し、世界のあらゆる地域でIFORの成長を支援する。

7.IFORで青年の力を強め、子どもと未来世代の権利を高める。

8.IFOR内部の性差(gender)の平等を実現し、IFORを超えて性差の平等を積極的に促進する。

9.文化の多様性を促進し、IFORへの少数派(民族)の参加を奨励する。

10.フェローシップ(交わり・友好関係・友情)の霊的基礎を育み、広げ、深める。

 

 これらの目標を達成するために11の作業部会が設けられています。@性差別問題(Gender)、A女性平和創造プログラム(WPP)、B出版物((Publications)、C会員の強化と支部等の基準(Strengthening Members BGA Criteria)、D青年(Youth)、Eユネスコ(UNESCO)、F平和と非暴力文化国際10年(Decade)、G国際神学(International Theological)、H多様性のなかの霊的一致(Diversity)、I国民的和解と選挙の準備(National Reconciliation Election Preparation)、J平和憲法(Peace Constitution)、です。このうちDの「青年」とJの「平和憲法」は新設で、後者については日本支部の提案によるものです。IFORの季刊誌“IR”Nr.4Winter 2006-7, Special Edition Council 2006  Tokyo, Japanによると、この部会の召集者はイタリア友和会と日本友和会(岡本三夫、アジア地域代表諮問委員)で「平和的な憲法づくりの運動を起こし、活動する。最初の仕事の一つは日本国憲法9条を世界の遺産にするための運動を立ち上げることである。将来のEU憲法についても取り組まれる」と記されています。

 前者の青年作業部会(召集者:Nina Perkowski)については、東京総会に参加した26歳のAbe Thijsさん(オランダ友和会理事)は「新しい国際理事会メンバー7人の平均年齢は53歳で、これまでの歴史になかった若さである。この火花(spark)で東京総会での青年たちのエネルギー(独立学園生が多数参加、筆者注)を持続させ、計画の実現を可能にする。青年作業グループの創設はIFORの諸活動への青年の参加を促し、将来の重要な発展要素になるであろう」と寄稿しています。

 

IFORの国際的な代表活動

 IFORの年報(Annual Report)2008年版がやっと発行されましたので、最近の国際的な代表活動(Representation)について紹介します。日本の憲法9条を世界の宝として普及・育成していく上で、グローバルな視野と視角が必要と思われるからです。

 IFOR前会長のジョナサン・シソン氏(以下、敬称略)は引き続き国連ジュネーブ(スイス)のIFOR代表で、ミッチェル・モナドが補佐しています。

IFORは国際戦争抵抗者の会(War Resisters International, WRI)とともに良心的兵役拒否の運動に深く関わり続けています。

フランク・オストロウスキーとジョン・キムは国連ニューヨークのIFOR代表で、依然としてイラク戦争が最大の問題として取り組まれています。アーネスト・シュワルツとピーター・ハンメルは引き続き国連ウイーンの代表です。ウイーンでは核兵器不拡散と軍縮・軍備撤廃が主要なテーマになっています。

 マリア・アントニエッタ・マレオはユネスコ、IFOR副会長のフランソワ・ペトルマンドは世界教会協議会(World Council of Churches, WCC)IFOR代表です。フランソワとスタン・モリスは国連の「平和と非暴力文化国際10年」の国際調整役を担っています。

 IFORはエイレーネ国際キリスト教平和奉仕団(EIRENE International Christian Service for Peace)と紛争地域で非暴力による仲裁・調停戦略を発展させるための国際団体「非暴力の平和勢力」(NVPNonviolent Peaceforce)の創設メンバーです。ジョン・ショットとスタン・モリスはEIRENEIFOR代表、エリック・バッハマンはNVP国際協議会のIFOR代表兼会計係です。IFORのスタッフはNVPの会合に参加しています。

 IFORはヨーロッパ紛争予防センター(European Centre for Conflict Prevention)とともに活動し、「武力紛争予防のためのグローバル・パートナーシップ」(Global Partnership on the Prevention of Armed Conflict, GPPAC)と共同(collaborate)し続けています。

 IFORはヨーロッパ教会会議(CEC, Conference of European Churches)のパートナー組織で、IFORの国際調整担当がCECの「安全と和解」の作業部会に奉仕しています。

 IFORは前述のWRIおよびSERPAJ(ラテンアメリカ共同、コスタリカ)とのパートナー組織です。IFORは「国際平和キリスト教と国際平和局」(IPB, Pax Christi International and the International Peace Bureau)との友好関係にあり、「教会と平和」(Church and Peace)の年次会議に代表を送っています。

 

IFORの今日的活動 

日本友和会のホームページ(HP)から「国際友和会」にアクセスすると、そのHP冒頭の回転地球儀の下方に”PEACE through active NONVIOLENCE”という文字が目に飛び込んでくる。“積極的非暴力による平和(づくり)”であり、その実現をめざす不断の活動を紹介している。その一面で最近の主なニュースとイベントおよび特別報告の見出しと解説があり、その部分をクリックすると詳細な情報を豊富な写真入りで知ることが出来る。

 今日のそれは、IFORの季刊誌(e-newsletter) ”IFOR in Action”(「国際友和会の活動」)Winter No.53/Winter 2009-10の発行、2008 IFOR Annual Report(年報)、FOR USA, Gaza Freedom March!(アメリカ友和会のガザ自由行進)、Peace. The Nobler Way(リチャード・ディーツによるオバマ大統領のノーベル平和賞受賞式時の講演についての厳しい論評)、そしてWPPNon Violent Education(非暴力教育)などである。

 今回は近刊の”ifor in action”(全13頁、英語版とフランス語版がある)の概要といくつかの記事の内容を紹介する。冒頭で編集長の挨拶があり、冬季の今号はヨーロッパ特集、次号の春季はアメリカを計画しているとのこと。1‐2頁はIFOR名誉会長であるヒルデガード・ゴスマイヤー女史が「テリスのパセム2009 平和と自由賞」を聖アンブロース大学(米国アイオア州ダベンポート)で受賞した写真入りの記事。3‐4頁はイギリス友和活動、5頁は「和解の時代」(ウエリ・ビルドベルガー)、2と6頁ではフィリピン、7頁はオーストリア、8頁はイランの友和活動、9頁はIFOR本部書記局のスタッフ紹介と原稿募集、10頁は書評である。11頁のイベントでは、2009年12月31日にガザで計画中の自由行進とアメリカ友和会の取り組みを詳報している。この記事については、この問題に関心を持って取り組んでいる石渡能子さんに抄訳していただいたので紹介する。

近東の平和への鍵は国際法への復帰およびパレスチナ人とユダヤ人がともに平和と安全に暮らす権利を認めることです。昨年末のイスラエルによるガザ地区に対する攻撃と占領の強化から一年を迎えようとしています。地球規模のあらゆる教義と多くの国ぐにの団体と個人が、ガザのパレスチナ人に同情するイスラエル人とともに2009年12月31日フリーダム・マーチ(自由行進)に加わることに同意しました。アメリカ友和会(FORUSA)はこのマーチを支持し、特にマーチへの宗派・教派を超えた参加のために活動しています。

 FORはガザ自由マーチに参加したい人がfor@forusa.org に応答し、Gaza Freedom Marchのウエブサイトのwww.gazafreedommarc.orgに登録するように呼びかけています。FOR会員、支部は地域のイベント、集会、ヴィジル(徹夜の祈り・集会)、行進をガザ自由マーチと同日に実行するように勧めています。わたしたちは、イスラエルとパレスチナの平和と和解のために、歴史と現状についての多くの論争と紛争を乗り越えて、このマーチが行われることを知っています。参加者はこの問題を自分で調べて事態の把握をするようにお勧めします。特に征服下のガザ地区で苦しんでいる人びとと連帯し、語り合うために立ち上がり、行動しましょう」

 

WPP

WPPとは”Women Peacemakers Program”の略称であり、「平和をつくりだす女性プログラム」のことである。近年では2007年11〜12月、インドのコーチンで開催されたワークショップに山田悦子・飯高京子両名が参加し、それ以前にも数名の女性会員がWPPの”Training of Trainers”(非暴力トレーニングのトレーナー養成)に参加している。今回はその任務と歴史および現況について紹介する。

任務:WPPのHPによると、IFORは「平和なくして発展(開発)なく、女性なくして平和も発展(開発)もない」と確信している。WPPは「平和をつくりだす女性の力をつよめ、女性と少女が平和づくりと市民社会形成に参画するための特別なプログラムが基本的に重要」としている。WPPの目的は積極的非暴力による女性の主体形成にある。女性と少女が不利な地位を起点に、平和づくりのために性差(ジェンダー)間平等への第一歩を踏み出すことが先決である。女性の主体形成には時間がかかり、残された課題が山積している。

歴史:「一度だけ、わがままをお許し下さい」と、エクアドルの首都キトで開催された1992年のIFOR総会でウガンダ代表が発言した。「IFORは女性の問題に焦点をあてた会合をもってほしい。ここに女性が出席しているが、女性の問題に直接かかわる議論は皆無です。IFORのすべての支部組織には女性が沢山います。どうして総会への参加者がこんなに少ないのでしょうか」。総会のみならず、IFORの多くの会議では多くの男女が出席できることになっているが、問題があった。「パネルディスカッションやグループ討議での発言者の圧倒的多数は男性である。92年の総会に参加した支部代表は42人のうち女性は12人以下である」など。そしていくつかの具体的な提案がなされた。性差のワークショップ、各支部間の女性の交流、女性のトレーニング・ネットワークづくり、積極的非暴力とリーダーシップ分野での女性のための特別訓練コースなど。その後、IFORの書記局は、理事会から平和と正義のための女性の活動を支援するための方策について調査・立案を指示され、93年以降その具体化に取り組んだ。国連主催の1995年世界女性会議(北京)はこの動きに拍車をかけ、97年6月にIFORのWPPが誕生した。因みにJFOR女性の会は世界女性会議に参加したメンバーが中心になって発足した。

現況:IFORの2008年の年報をみると、32頁中9頁がWPPの活動報告である。

WPPの予算は、オランダ国民の税金を、世界平和構築プログラムのために、と議会で承認されたものと聞く。(一方、わが国の税金は政府間で取り決めるODAのダムや橋の建設、高価な大型医療機器提供などに費やされている)。この背景からWPPのスタッフや予算は、国連のユネスコやEU諸機関と連携してIFORの大きな柱になっている。主な活動は@非暴力の教育とトレーニング、A世界の地域ごとの体制づくり、B性差間の平等を主流にする取り組み、などである。これは国連の「女性に対する暴力撤廃」運動と連携している。昨年度の「男性の非暴力トレーニングのトレーナー養成プログラム」実施に際して、わが国からも若い男性2名が応募したが、募集枠20名に対し200余名もの応募者があり、参加実現は叶わなかった。WPPは年に3回、”Cross the Lines”という情報交換誌を発行している。リンク団体として、V-Day(女性と少女に対する暴力阻止のためのグローバルな運動体)、Peace Women(国連の「平和と自由のための国際女性連盟、WILPF」、UNIFEM(国連・女性のための開発基金)、Woman Waging Peace(平和のためにたたかう女性の組織)、Code pink(ブッシュ政権のイラク侵略を止めるためのアメリカ女性団体)がある。

青年ワーキンググループ

2006年のIFOR総会で新設された青年作業部会(Youth Working Group,以下、YWGと略称)はその後、電子メールで日常的に交信し、時には会合をもっています。そして毎月ニュースレター ”IFOR Youth Opportunities (YO)” を発行し、この4月で33号になります。各国支部の活動内容や青年にとって貴重な情報が沢山、発信されています。

メンバーはマルタ・ビイレ(イギリス)、ビアトリス・アモニ(ウガンダ)、バートラム・フレッシュ(ドイツ/オランダ)、ピート・ハムメルレ(オーストリア)、ニーナ・ペルコウスキー(ドイツ)の5人で、ウガンダのビアトリスさんは、昨年JFORに9条Tシャツ送付を要請し、母国の平和憲法実現をめざしています。5人中、責任者はニーナさんです。

平和と非暴力を推進するIFORが何故、青年のエンパワーメント(主体形成)とイニシアティブ(主導性)発揮を必要としているのでしょうか。青年の存在と働きはIFORの将来と平和運動の永続的発展にとって不可欠なだけではありません。若い世代の人びとを独立した、批判的精神をもった、主導力のある個人に育てることがきわめて重要だからです。非暴力活動への参加を通して、彼らは社会の軍国主義や暴力と破壊行為に抵抗することを学び、実践できるようになるからです。

今日、IFORの内部で青年の主体形成ないし自己実現を図ることは、IFOR加盟組織を将来に向けて強化することになるのです。もしこの課題に失敗すれば、正義と平和をめざすわたしたちの運動は弱体化されるでしょう。IFORの若いメンバーの存在と役割を正しく評価することによって、次の世代が非暴力の生き方を引き継ぎ、積極的に促進することになるでしょう。2006年12月以来、IFORの本部事務局はIFOR内部に青年メンバーの主体形成を図るための計画案を練ってきました。IFORメンバーが高齢化し、積極的に活動する青年が減少するなかで、この取り組みは大変重要と思われます。

このワーキンググループは同年12月に初めて会合をもち、青年の参加が少なく、弱いという問題について何ができるかを検討してきました。来る11月オランダでのIFOR総会では国際青年会議開催も準備中です。最近新たに「青年の活動についてのアンケート」がJFORに届いています。以下、その項目のみを紹介します。@貴支部に35歳以下の会員が何名いますか。彼ら/彼女らはどのように会に代表を出し、活動に参加していますか。A貴支部には青年の活動に責任をもつ担当者がいますか。B貴支部は青年の活動についてIFORの他国の支部ないしメンバーと協力し合っていますか。C貴支部はIFORの青年たちの活動を知り、できればその活動に参加したいと思いますか。もし”はい”なら、たとえば貴支部の青年を、IFORの青年サマーキャンプや他の支部へ実習生として招待されることを希望しますか。DあなたはYWGと活動を分かち合うために青年の主体形成(自己啓発)に関して何らかの経験、勧告またはアイディアをおもちですか。Eあなたの支部が青年の活動をより活発化するために、IFORないしYWGが支援できることはありますか。F来る11月にオランダで行われる青年会議のプログラムと活動について希望や要望がおありでしょうか。目下書記局で回答を準備中。若い会員各位のご意見を歓迎します。

 

平和と非暴力の文化国際10年」への取り組み

 IFORは2005年3月17日「平和と非暴力の文化国際10年(2001-2010)」への取り組みの中間総括文書A4版19頁)を公表しました。その抄訳はJFORのWEBサイトで掲載することにし、今回はその要点とIFORの年報による近年の活動の要点のみを紹介します。

 1995年のユネスコ総会で「平和の文化」を推進していくことが決議され、97年7月に20人のノーベル平和賞受賞者たちの「アピール」(注1)があり、ユネスコの提起により同年の国連総会で2000年を「平和の文化のための国際年」とすることが宣言されました。さらに、98年の国連総会では、2001年から2010年までを「世界の子どもたちのための平和と非暴力の文化国際10年」(注2)とすることが満場一致で採択されました。その後、99年の国連総会で「平和の文化に関する宣言および行動計画」(注3)が採択され、各国政府等は同宣言と行動計画にもとづいて「平和の文化」を振興することになりました。

そもそもの始まりは、このアイディアを主唱したピエール・マーチャンドであり、IFORはこの国際10年に深く関わってきました。97年9月にアメリカFORはこの創設を支持するためにニューヨークの国連でIFORの記者会見を行い、同時にノーベル平和賞受賞者たちのアピールを全世界に紹介しました。JFORもこの呼びかけに呼応して賛同署名ハガキ運動に取り組みました。(その後については友和誌649号参照)

IFORの行動計画は次の9項目です。@子どものための教育と訓練、A大人のための教育と訓練、B非暴力のメディアの発展(世界規模のメディア・ネットワーキング)、Cジェンダー(性差)と家庭内暴力への対処、D軍縮、E経済的正義、F異なった宗教間の対話、G平和チームと平和ゾーンづくりの促進、H平和構築のための構造変革。

2002年ニューヨークでのIFOR総会で、この国際10年を強化するためにワーキンググループ(WG)が新設され、04年にはこのグループが二つに分かれました。一つはユネスコとの連携を図るため、もう一つは各国の全国的な連携組織づくりの促進づくりのためのものです。これらのWGによる年々の活動とその積み上げはIFORの年報で詳細に報告されており、最新の2008年版では5ページにわたり写真入で記載されています。項目のみを紹介しますと、@平和と非暴力の文化国際10年、A2008年のユネスコへのIFORの代表者派遣と活動の総括、B平和主導(イニシアティブ)のための第3回国際サロン:若者は何処にいるのか、C幼稚園における非暴力の教育―非暴力教育と訓練プログラム(NVETP)、です。

この「国際10年」はその中間点でユネスコの「永続的発展のための教育国際10年(2005-2014)(UN Decade for Education for Sustainable development 2005-2014)に受け継がれており、日本での全国的、かつ地域レベルでの取組みが立ち遅れています。

その克服のためには文部科学省や日本ユネスコ協会連盟などへの働きかけや他団体・諸組織との連携が必要で、9条文化の普及と共に取り組みたい課題です。

注1〜3:JFOR女性の会訳の「アピール」と日本子どもを守る会付属研究所訳の「行動計画」等は『子ども白書2000年版』に収録されています。ご参照下さい。